いろいろ実験を繰り返している。
画質面で、設定によって、またコーデックの選択によってどのような特徴があるのかというところでは、だいぶ煮詰まってきた。
ここでは特に、AVCHD(H264)と、MJPEG(非圧縮AVI)の差についてまとめてみようと思う。
試した設定
●AVCHD(C設定ベース)
native 24p
video bitrate adjustment FHD/SH simplified: 50000000
video bitrate adjustment H: 38000000
video bitrate adjustment L: 16000000
overall bitrate: 52000000
limited bitrate: 60000000
1080p GOP: 12
●MJPEG(modulr's JPEGクオリティ100%設定)
colorspace 4:2:2 on
400,4,300,4,250,4,179,4
→とにかくビットレートを上げて撮ろうという設定意図。
●MJPEG(ipowell's stable&replay in camera 30-35Mbps)
colorspace 4:2:2 on
150,86,130,56,115,26,100,4
→ビットレートはあえてカメラ内再生が可能な38Mbps以下におさえ、平均30〜35でどんなシーンにおいても安定した撮影を可能にしようという設定意図。
では、比較切り出し静止画を上げながら、それぞれの特徴を書き出してみる。
なお、動画からの切り出しは、MJPEGはカメラが生成するJPEGサムネイル(1280x720)を、AVCHDはそれぞれ2フレーム目をTMPGEncで切り出した。
※なぜか1フレーム目は他のフレームと比べて汚いので・・・
画像比較は、Fatstone Image Viewerで行ったものをプリントスクリーンでとっている。
1.AVCHDとMJPEGの差異
まずは、SHとMJPEG(mudhr)の差を、日中屋外の情報量の多いシーンで比較してみた。

SHも40Mbps以上のビットレートを誇るのだが、かなり細部をつぶしているのがわかる。
ただし、動画で見た場合は気になるブロックノイズもなく、不足ない画質を実現している。
対するMJPEGの70Mbpsはさすが、破綻なく細部まで描ききっている印象。
同じくSHとMJPEG(modulr)の差を、日中日陰の情報量・中程度のシーンで比較してみた。


やはりSHが細部をつぶしているのが目立つ。(これはこれで動画で見た場合悪くはないのだけれど)
MJPEGは、1枚1枚の葉の階調まできれいに描き出せている。
色合いに関しても、特に緑の鮮やかさがMJPEGの方が良いようだ。
4:2:2色空間の恩恵だろうか。
続いて、屋内で薄暗くかつコントラストの低い、一番高感度ノイズが目立ちやすい状況でISO1600のテストをしてみた。
同じくSHとMJPEG(modulr)の差である。

日中の情報量の多いシーンに比べると、細部描写の差はそれほどSHとMJPEGの間には感じられない。
それよりも、MJPEGがカラーノイズ、バンディングノイズまで模様と認識して描きだしているような印象である。
対し、AVCHDの圧縮ではノイズが丸められてしまうようで、わりと消えている。
AVCHDは非常に高圧縮での高画質を実現している。
かといって魔法のように画質をまったく損なうことなくファイルサイズを減らせるかというとそういうことではなく、遠目に見てわかりにくい部分を徹底的に丸めて、その分輪郭をはっきりさせている傾向があると思う。
ただ、GH1に関しては、どうも圧縮がまずいというか、やりすぎ感が否めないような・・・。
対して、MJPEGの圧縮は非常に素直に細部を再現しようとする特徴があるようだ。
では、これを破綻なく実現するには、どの程度のビットレートが必要になってくるのか。
次に、MJPEGでビットレート設定を変えて試してみた。
2.MJPEGの高ビットレート(modulr)と低ビットレート(ipowell)の差異
MJPEGの70Mbpsと35Mbpsを、日中情報量の多いシーンで比較してみた。
※ただし、MJPEGのビットレート設定の変更には一旦ファームウェアを当てなおす必要があり、日を分けるしかなかったため、WBや画角が少し異なってしまった。

70Mbpsが破綻なく描ききっているのに対し、35Mbpsでは随所にブロックノイズが見られる。
また、GH1のMJPEG圧縮の特徴として、ビットレートが足りない場合、輪郭にモスキートノイズが現れる傾向がある。
ipowell設定では、日中他のシーンでも特にモスキートノイズが顕著に出てきた。
対し、modulr設定では、ほとんどモスキートは見られない。
次に、薄暗い屋内の低コントラストのシーンで、MJPEGの設定ごとの比較をしてみた。
ビットレートは66Mbpsと30Mbpsである。

傾向としては似ているし、低ビットレートの方にも、情報量の多いシーンで見られたようなモスキートノイズは現れていない。
ただし、やはりカラーバンディングノイズの出方がやや高ビットレートの方がきれいだし、低ビットレートの方は画面右下のモアレが悪目立ちしている。
→ということは、MJPEGを効果的に活用しようと思えば、やはり高ビットレートのmodulr設定で攻めた方がよさそうだ。
安定性とカメラ内再生は犠牲になるけれども。
3.AVCHDの高ビットレート(SH)と低ビットレート(L)の差異
次に、AVCHDのSH(40Mbps)とL(14.5Mbps)を、1と同じ情報量の多い日中のシーンで比較してみた。

比較するとややLの方が破綻が見られる。(例えば看板の部分等)
だが、SHとLは傾向は非常に似ており、MJPEGとAVCHDほどの差は見られない。
ただし、動画で見たときのGOP単位の画質変動の目立ち方は、L>H>SH(>FHD)で、ビットレートが高いほうがより目立たないのである。
GOP単位の画質変動は、再生能力の高いBDレコとプラズマの組み合わせではほとんど出ないため、PC再生だけの問題なのだが、これを画質に対する優劣として見ていいのかどうか・・・。
原寸の当倍切り出しも載せておく。

●SH 40.8Mbpps

●MJPEG modulr 73.9Mbps

●MJPEG ipowell 32.4Mbps

●L 14.5Mbps


●SH 27.5Mbps

●MJPEG modulr 70.4Mbps


●SH 27.9Mbps

●MJPEG modulr 66.9Mbps

●MJPEG ipowell 30.7Mbps

さて、今回はオリジナルの素材についての比較だった。
次回は、素材を編集して最終出力形態にエンコードした場合に、どれくらいの画質劣化があるのかについて、MJPEG、AVCHDを比較してみようと思う。