2013年03月13日

Grading Training その3

さて、前々回前回に引き続き、カラーコレクションハンドブックからの実践事項をメモしていく。

前回の終わりで、3回目の"作品としてのLooksを与える"に行くと予告した。
が、もう一つ書き忘れたが大事な章があった。
カラーコレクションハンドブックス Chapter8「ショットのマッチングとシーンのバランス」だ。
1つの映像を作ろうとする場合、いくつかのクリップをつなぎ合わせて作る。
が、このクリップを全て均一な画調で撮っているかというと、なかなかそんな腕は素人にはない。
あるものは露出が低すぎたりあるものはWBがおかしかったり、本来同じ肌色でつながるべき同じ登場人物なのに、カットによって描写がまったく異なってしまうこともある。
言うなれば、これはStep 1の段階で出会う問題である。
が、再び最終Stepである"Looks"の適用でも再浮上してくる問題だろう。同じエフェクトを全てにコピーしても、うまく行くクリップと行かないクリップは当然出てくる。
私も一応は前からあまりに違和感を感じるクリップについてはなんとなく他のと合わせるように補正していた。
だが、Alexis先生が1章丸々割いてこの問題に対して非常にシステマチックにこのテーマに取り組んでいるのを読んで、やはり違いはここにあるのだなぁと感心したので、急遽Step 3の内容をこちらに変更して方法をメモしておく。

今回のStep 3「クリップごとのマッチング」の学びポイント
*調整の管理
*比較は前後のクリップでなくマスタークリップと
*比較方法
*比較基準と調整の順序

【調整の管理について】
私が今までもっとも曖昧で悩んでいた部分なのだが、
A.なるべく少ないフィルタエフェクト回数で、「整える」「際立たせる」「Lookを与える」を一気にやってしまうのがよい
B.バランスを「整える」過程と「Lookを与える」過程ではフィルタを明確にわけ、別々に調整できるようにする。(重ねがけが発生)
のどちらが良いのかということ。

Aの特徴:
・比較的自然なLookの作成の場合には、この方法がシンプルで早い
・一気に作りこんでしまうので、別のLookへの変更がしにくい
Bの特徴:
・一旦ベースを作っているので、後からいろいろなLookの変更に対応できる
・時間と手間がかかる

と書かれているが、私はもう少し突っ込んでAlexis先生に聞いてみたいことがある。
Bのフィルタの重ねがけは画質へのダメージはどうなのかということ。
ベース調整の段階で露出を大幅に下げたクリップに対して、別のフィルタで再び露出を上げたLookを与えるという無駄な手順が発生した場合、問題はないのか。
一応、私のつたない検索力と理解力で調べた結果が、「32bit浮動小数点処理のソフトなら大丈夫じゃない?」という仮説だ。
http://blogs.adobe.com/VideoRoad/2010/06
Understanding Color Processing: 8-bit, 10-bit, 32-bit, and more(Jun.3 2010)
の記事によると、32bitなら、例えば露出調整で思い切り露出を上げて白飛びさせたクリップに対し、別のエフェクトをかけて再び露出を下げて戻してきた場合、白飛びではなくてもとの色が復活している。

ということは、最近某所で安物買いと若干鼻で笑われた感のあるRed Giants製品+Premiere Pro CS5の組み合わせもも、基本は32bit浮動小数点処理に対応しているので、画質的にはお高いソフトと同じことができるんじゃないの?と少し反骨精神がわいているのである。
(後述するが、ありえない製品不良もいっぱいあるし、カラーコレクションハンドブックを読んだだけでもDavinciには及ばない機能があることも知ってます。値段相応にアマチュア用であることは認めます。
 でも私プロじゃないし、別にそれでいいと思うのだ。知恵と工夫でカバー!遠吠えです。)
参考に
http://www.reduser.net/forum/showthread.php?75862-Resolve-Lite-Vs-Colourists-II

というわけで、調整の管理としては、基本B案で行こうと思う。

【マスタークリップの選定について】
・最も特徴的である
・全てのシーンの登場人物が含まれ、周囲の環境が把握できるのが理想
・お気に入りのショット(最上)を作り、それに他を合わせる形が理想だが、さまざまな問題からそうは行かない場合もある。ときには、最低を基準としなければいけない場合もある。最終的には美しさよりも一貫性。

全てのシーンについて、前後のクリップと合わせるのではなく、常にマスタークリップと比較する。
でないと伝言ゲームのように始まりと終わりで結果が微妙に違ってくることもある。
ちなみに、私は見事に伝言ゲーム派だった。反省。

【マスタークリップと個々のクリップの比較方法】
・交互に見比べる
・画面分割機能を使う
・両方のクリップのカラースコープを比較

確か以前使っていたEdiusの場合は、カラー補正エフェクトに、任意の位置にカーソルを合わせて前後左右に画面を分割して比較する機能がついていた。
だが、Colorista 2をはじめとするRed Giants製品とPremiere Pro CS5では見当たらないので、私はこんな風にしてみた。

図1. マスタークリップのフレームを書き出し
03-match-01.jpg

今回の例は、初春の梅の例。
極端なグレーディングLookではなく、GH2 Valkyrieのノスタルジック独特のやわらかいイメージを生かし、バランス調整のみで仕上げようと思った。

ハイライトとシャドウのバランスがよく、WBも、寒さに青ざめていた気持ちが春の暖かい日差しにやっとほころんでくるような、少し温かみのある色温度のものをマスタークリップとして選んだ。
他のクリップに共通する登場人物としては、梅のピンク、林や木のグレー〜ブラウン、芝生の黄緑、常緑種の葉の緑が含まれていることもその選定の一因となっている。

このクリップの1フレームを静止画として書き出し、ビンに登録する。

図2. カラー補正ワークスペースのカスタマイズ
03-match-02.jpg

Premiere Pro CS5の場合、ワークスペースを適宜切り替えて作業するのだが、マスタークリップと個々のクリップの比較は「カラー補正」ワークスペースが一番使いやすい。
図2に示したとおり、右上のタイムラインモニターには個々のクリップのコンポジット映像、右下にはそのスコープがデフォルトで表示されるようになっている。
ここにアレンジして、画面中央上のソースモニターに先ほど書き出したマスタークリップのスナップショットを表示させるのだ。
ソースモニターのメニューにもコンポジットとスコープを切り替えるボタンがついているので、適宜これを使えば、画面分割こそできないが、常にマスタークリップと目視、スコープで見比べることができる。

【比較基準と調整の順序】

1.コントラストの比較
→ハイライト同士の比較、シャドウ同士の比較、中間調同士の比較
→YC波形が頼りになる

YC波形ばかり見ていると見落としがちになるのだが、画像によっては、白が存在しないクリップもある。
それを同じ「最明部」としてマスタークリップのウェディングドレスの白と同じIRE値に引き上げてしまうのはおかしい。
ちゃんと目視で判断する必要がある。

2.カラーバランスの比較
→目視で見比べ、両映像の色調の違いが一番見られるのはハイライト?中間調?と見ていくと、たいてい違和感を感じるのはハイライトであることが多い。たいていハイライト→中間調→最後にどうしても合わない違和感がある場合のみシャドウを触る
→ベクトルスコープで中心からの角度が同じであればカラーバランスはマッチングしている
→ハイライトとシャドウのバランスにはRGBパレードがみやすい

3.彩度の比較
→目視で気づく目を持つことが大事
→ベクトルスコープでは、円の中心からの距離(グラフの全体的なサイズ)の比較によって彩度の違いがわかる。

4.例外の確認
→各クリップの中で1つだけ目立ちすぎていたり、バランスを大きく崩す原因になっているオブジェクトはないか探す。
目だっていいものなのか、目立たない方がいいものなのかを見極め、必要ならセカンダリコレクションで補正。
(鮮やかな赤、黄色、マゼンタ等)
※紹介する「the message of spring」では、朱色塗りの橋があまりに鮮やかでメインの人物と喧嘩する感じがしたので、セカンダリコレクションで彩度を下げている。

というような手順を経て完成したのがこちらのクリップ
「the message of love」

the message of spring from soyoharu on Vimeo.



次回こそ、Step 4「Looksを与える」に進む。
posted by そよはっは at 23:34| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
メンズ
Posted by ブレス 通販 at 2013年08月10日 02:41
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