2013年03月26日

Grading Training その4

カラーコレクションハンドブックからの実践事項の最終回。
その1
その2
その3

今回は最後の課題、映像に"Look"を与える。

素人が最初に目をうばわれるのはやっぱりこれだと思う。
今はYoutubeの動画加工ツールやvimeo enhanceなど、web上で無料で"look"プリセットを与えられる時代になって、敷居はどんどん下がっているし、認知度も高まっていくだろう。
ただ、私が着手した頃はこんな無料ツールはない時代だったので、MagicBulletLooksを買って、いさんで「グレーディング」プリセットを使っていたわけです。
恥ずかしながらこのブログでもいろいろプリセットを試していたエントリーもあるな。
でも、数あるもののうちどれを試しても、感じるのは「どぎつさ」と、うーん、クオリティ的にはやるんじゃなかったっていう後悔。
オリジナルとの比較を動画サイトにアップしても、元の方がいいね!的なコメントをいただいてしまったり。

なんでかなって考えたときに、やはり素材とプリセットのアンマッチングだと思う。
MagicBulletLooksなんかのプリセットは、きっとLogガンマなんかの思いっきりコントラストも彩度も低い素材を特定の画調にすることを考えてつくられてるように思う。
でないと、あんなになんでもかんでもS字曲線系のコントラストになってないよ。

そもそも私が扱うのはAVCHD。
元からグレーディング無しでそのままきれいに見えるように調整された素材なわけで。
それに対してあんなどぎつい曲線のグレーディングをやっても、どこかで見た映画「風」TV「風」にはなっても、白の飛び方、黒のつぶれ方、肌の見え方のクオリティはお粗末そのものになるのはわかりきっている。
やはり重要なのは「整える」「際立たせる」「シーンの印象を統一する」のプロセスをしっかり経た上で、最適なカーブをあてることだと思う。

MojoやColorista 2と比べて、Looksには調整ツールがたくさんある。
で、その組み合わせでプリセットを提供してくれているのだが、いかんせんそれに対する説明が圧倒的に不足しているのだ。
このツールは画調の何に寄与していて、それはこの素材には必要なのか不要なのか・・・そもそもプリセット考案者はどういう順番でこのツール群をあてていったのだろう・・・
そこまでの探究心を全てのプリセット、全てのクリップについて行うことは、難しい。
さまざまな調整項目・・・宝の山を目の前にしているのだろうけど、高すぎて頂上が見えない。
とはいいつつ、なんとかプリセットの方に素材を合わせたり、簡単なところでカーブのみプリセットを触って調整してみたりしつつ、使いこなしていくしかないわけだが。

というわけで、やはりいかにStep1〜3の過程による下準備が大切かということを実感しつつ、おなじみの宮古島映像にさまざまな"Look"を施してみた。

特定の色調を与える"Look"について、画面に人物が入るか否かではっきり方向性と難しさが決まってくるように思う。
私は人肌には保守的な方なので、人物対象の方が断然難しく、いつも悩んでしまう。

Grading Training Log from "Color Correction Handbook"; Step 4-cafe from soyoharu on Vimeo.



映画シーン01 masculin

逆光_01.jpg
逆光_01_rgb.JPG
順光_01.jpg
順光_01_rgb.JPG

これはカラーコレクションハンドブックのChapter10「クリエイティブテクニック」の中で「典型的なクロスプロセスルック」として紹介されているカーブ。
01_RGB-curve.jpg
ハイライトは黄みがつよく、シャドウは青みをきかせて、中間調はその相殺効果でニュートラルな感じに出るようになっている。

masculinの名のとおり、女性が思う男性らしさ、かっこよさをイメージした。

映画シーン02 detective 70s

逆光_02.jpg
逆光_02_rgb.JPG
順光_02.jpg
順光_02_rgb.JPG

これは私が好んで使うハイライト緑、シャドウ赤の組み合わせ。
the rainy day」の前半や、「2012 thai 02」の0:53〜1:46なんかに使っている。
80年代に私が放課後再放送される刑事ものなんかのドラマを観ていたときの記憶に近い色はこんな色合いだから。本当の70年代風は知らないから、「うそだ」と言われればそれまでだけど。

02-mojo.JPG
これなんかはColoristaで作るのが一番やりやすいだろうが、mojoでもスライダーをさわっているうちになんとなくそれ風のができあがるという見本。

映画シーン03 monochrome

逆光_03.jpg
逆光_03_rgb.JPG
順光_03.jpg
順光_03_rgb.JPG

逆光の映像のベクトルスコープを見てもらうとよくわかるのだが、実際にはモノ(1色)ではなく、デュオ(2色)である。ハイライトはベージュ、シャドウはやや青紫がかっている。
RGBパレードではシャドウとハイライトの色バランスを見てもらいたい。

MagicBulletLooksのプリセット"Vintage tint"を使った。
03-looks-vintage-tint.jpg
ベージュと紫って、個人的にかなりおしゃれな色の組み合わせだと思っているので、このLooksのプリセットはお気に入りになりそうだ。

映画シーン04 warm ennui

逆光_04.jpg
逆光_04_rgb.JPG
順光_04.jpg
順光_04_rgb.JPG

これは逆光のシーンにぴったり。
白飛びした窓をごまかすのにもいい感じだった。
ただこれがハマる映像は数少ないと思われ・・・

MBLのプリセット"Warm Haze"を使った。
04-looks-warm-haze.jpg
逆光シーンと順光シーンではHaze/Flareのパラメータを変えるのが吉。
順光ではハレーションは控えめに。


反対に、風景映像なんかは割りとぽんぽんアイディアが浮かんでくる。

Grading Training Log from "Color Correction Handbook"; Step 4-road from soyoharu on Vimeo.



映画シーン01 x-process-green

宮古車窓g01.Still062.jpg
宮古車窓g01.Still062-scope.JPG

これはベクトルスコープの見方のいい勉強になりそうな例。
グラフが円の中心を通っておらず、ほぼシアン〜緑〜黄色方向に偏っている、典型的な「緑かぶり」。
プリセットはMBLの"CrossProcess Green"を使った。
GorillaGrainの35mmの09番を80%のオーバーレイでかぶせている。

映画シーン02 pointillism

宮古車窓g02.Still063.jpg
宮古車窓g02.Still063-scope.JPG

MBLの"CrossProcess Basic"を使っているのだが、特徴はその粒子感だろう。
GorillaGrainの35mmの09番を50%のリニアライトでかぶせている。
フィルムグレインの使い方だが、描画モードでだいぶ変わる。
人肌向けのソフトできれいな感じならソフトライトがおすすめ。ハイライト部分にはノイズがのらず、中間〜シャドウにかけて淡く乗る。
逆に、このリニアライトは画面全体にはっきり粒子が乗る。
それゆえ「点描画」と名づけた。

映画シーン03 monochrome

宮古車窓g03.Still063.jpg
宮古車窓g03.Still063-scope.JPG

MBLの"Black and White Crunch"
階調が一番きれいに見えるものを選んでみた。
GorillaGrainは04番を80%のハードライトで重ねている。
これもソフトライト同様ハイライト部には粒子は乗らない。

映画シーン04 Bleach Bypass

宮古車窓g04.Still063.jpg
宮古車窓g04.Still063-scope.JPG

MBLの"Bleach Bypass Warm"を使っている。
Alexis先生によるとブリーチバイパスと言うのは決して彩度が低いことではない、とあるが、MBLの場合はわりと彩度が低く出る。
GorillaGrainは04番を80%オーバーレイで重ねている。

映画シーン05 hard mix

宮古車窓g05.Still063.jpg
宮古車窓g05.Still063-scope.JPG

わお!ベクトルスコープとRGBパレードがえらいことになってます。
これは、MBLの"Super Vintage"でかなりシャドウを持ち上げて若干ハイライトを下げ、コントラストを低くしたものに、GorillaGrainの04番を35%ハードミックスで重ねている。
ハードミックスという描画モードは非常に面白くて、コミックアート風になる。
BGMもあいまって、ずばりテーマは「サイケデリック」!


今回、Step 1のcorrection、Step 2のenhance、Step 3のmatchingの過程を経たクリップに、ざっと一様に同一のプリセットをあてただけでも、けっこううまくいっていると思う。
もちろん、それだけではだめなものもあり、マスタークリップと比較しながらカーブを微調整したクリップもあるが、それは悩むほどのものでもなく、割と簡単にできた。

このプリセットの引き出しをある程度増やしていきたいと思う。
今度はピンクやブルーのハイキーな感じにも挑戦してみたいし、ハワイアン風の彩度の高いハイキーも気になる。たくさん映画を見たいなぁ。

posted by そよはっは at 21:31| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
非常に参考になりました!
Posted by Y at 2013年12月08日 09:50
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